トノサマガエル
アカガエル科 トノサマガエル属 Pelophylax nigromaculata Hallowell, 1861
メス、愛知県 オス、広島県 | ||||||
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卵 ・ オタマ | 鳴 き 声 | 文献 ・ 資料 | 写 真 |
後足だけにある指の間のみずかきはよく発達しています。背中にはミミズ状の細長い隆起が散在し、背側線(鼻先から瞼(まぶた)を通ってお尻まで続く線模様)は太く盛り上がります。似た種にダルマガエルとトウキョウダルマガエルがいますが、ダルマガエルの背中には隆起があってもミミズ状ではなく、背中の中央の縦縞もないか細くなっています。また、黒色の丸みを帯びた斑紋が散在します。トウキョウダルマガエルはミミズ状の隆起が弱く残りますが、背中に黒色の丸みを帯びた斑紋が散在します。
分布
本州(関東から仙台にかけての地域と信濃川流域を除く)、四国、九州、中国大陸にも分布
生態
いつも水の中や岸辺にいて、水辺から離れることはあまりありません。日中もよく活動し、昆虫類やクモ、アメリカザリガニなどを食べます。ニホンアカガエルなどと同様に水田や周囲の緑地に依存しています。
生息場所
平地や低い丘陵地の水田や周囲の小川、池、湿地などに生息。
繁殖
繁殖期は地域により異なりますが、水田に水が入ると繁殖が始まります。繁殖期間はおおむね2ヶ月程度。
大きさ・色
体長は雄で55~80mm、雌で60~90mm。雌雄で体色が異なっていて、雄は全体が緑色から金色までを基調とし背中の中央に1本の緑色や黄色の縦縞を持ち、雌は黒色や灰暗色で背中の中央の縦縞は太く白いです。
保全情報
- 環境省レッドリスト カテゴリー
- 準絶滅危惧(2012) → 準絶滅危惧(2015) → 準絶滅危惧(2017) → 準絶滅危惧(2018) → 準絶滅危惧(2019) → 準絶滅危惧(2020)
各県のレッドデータ情報
各県のレッドリストカテゴリーは、制定当時の環境省カテゴリーと同等の場合はそのままのカテゴリー名で書いています。
○はその県に生息している、---は生息していないことを示します。
*は、県独自カテゴリーを示します。
カテゴリ | その他 | |||
北海道 | ブルーリストA(2004) → ブルーリストA3(2010) → ブルーリストA3**(2019) | **北海道の外来種リスト | ||
青森県 | カテゴリーなし(2000) → カテゴリーなし(2006) → カテゴリーなし(2010) → 準絶滅危惧(2020) | |||
岩手県 | カテゴリーなし(2001) → C*(2014) | ** | ||
宮城県 | 情報不足(2001) → 要注目種*(2013) → 要注目種*(2016) → 絶滅危惧II類(2021) | * | ||
秋田県 | ○ | |||
山形県 | カテゴリーなし(2003) → 準絶滅危惧(2018) | |||
福島県 | 未評価*(2003) → 準絶滅危惧(2017)→ 準絶滅危惧(2018)→ 準絶滅危惧(2019) | |||
茨城県 | --- | |||
栃木県 | --- | |||
群馬県 | --- | |||
埼玉県 | --- | |||
千葉県 | --- | |||
東京都(区部) | --- | |||
東京都(北多摩) | --- | |||
東京都(南多摩) | --- | |||
東京都(西多摩) | --- | |||
神奈川県 | 危惧種*(1995) → 絶滅危惧I類(2006) | |||
新潟県 | 絶滅危惧II類(2001) → 絶滅危惧II類(2016) | |||
富山県 | カテゴリーなし(2002) → 準絶滅危惧(2012) | |||
石川県 | ○ | |||
福井県 | カテゴリーなし(2002) → 要注目種(2016) | |||
山梨県 | 準絶滅危惧(2005) → 準絶滅危惧(2018) | |||
長野県 | カテゴリーなし(2004) → 準絶滅危惧(2015) | |||
岐阜県 | ○ | |||
静岡県 | 要注目種(2004) → 準絶滅危惧(2019) | |||
愛知県 | ○ | |||
三重県 | カテゴリーなし(1995)→カテゴリーなし(2005)→カテゴリーなし(2015) | |||
滋賀県 | 要注目種(2000) → 要注目種(2005) → 要注目種(2010) → 要注目種(2015) → 要注目種(2020) | |||
京都府 | 要注目種(2002) → 要注目種(2015) | |||
大阪府 | カテゴリーなし(2000) → 準絶滅危惧(2014) | |||
兵庫県 | ○ | |||
奈良県 | ○ | |||
和歌山県 | 準絶滅危惧(2012) → 準絶滅危惧(2001) | |||
鳥取県 | ○ | |||
島根県 | ○ | |||
岡山県 | 準危急種*(2003) → 留意(2009) → 準絶滅危惧(2020) | *存続基盤が脆弱な種 | ||
広島県 | カテゴリーなし(2003) → 準絶滅危惧(2003) → 準絶滅危惧(2011) → 準絶滅危惧(2022) | |||
山口県 | 準絶滅危惧(2002) → 準絶滅危惧(2018) | |||
徳島県 | カテゴリーなし(2001) → 絶滅危惧IB類(2013) | |||
香川県 | 準絶滅危惧(2004) → 準絶滅危惧(2021) | |||
愛媛県 | 絶滅危惧II類(2003) → 絶滅危惧II類(2014) → 絶滅危惧II類(2020) | |||
高知県 | 準絶滅危惧(2002) → カテゴリーなし(2018) | |||
福岡県 | 絶滅危惧IB類(2001) → 絶滅危惧IB類(2014) | |||
佐賀県 | 情報不足(2003) | |||
長崎県 | 絶滅危惧種IB類(2001) → 絶滅危惧IA類(2011) → 絶滅危惧IA類(2016) | |||
熊本県 | カテゴリーなし(1998) → 準絶滅危惧(2004) → 準絶滅危惧(2009) → 準絶滅危惧(2014) → 準絶滅危惧(2019) | |||
大分県 | 絶滅危惧II類(2001) → 絶滅危惧II類(2011) | |||
宮崎県 | 準絶滅危惧(NT-g,2000) → ? (2007) → 準絶滅危惧(NT-g, 2010) → 準絶滅危惧(NT-g, 2015) | |||
鹿児島県 | 準絶滅危惧(2003) → 準絶滅危惧(2016) | |||
沖縄県 | --- |
ハペ文化
地方名
- 長崎県、ひこたびき、松尾公則 2005 長崎県の両生・爬虫類 長崎新聞社,長崎.
- 長崎県、じょうーくおー、松尾公則 2002 長崎の蛙と蛇の方言について 長崎生物学会誌 54 66-67.
- 長崎県、どんこ、松尾公則 2002 長崎の蛙と蛇の方言について 長崎生物学会誌 54 66-67.
- 宮崎県、どんこ、松尾公則 2002 長崎の蛙と蛇の方言について 長崎生物学会誌 54 66-67.
- 鹿児島県、どんこ、松尾公則 2002 長崎の蛙と蛇の方言について 長崎生物学会誌 54 66-67.
- 岡山県 瀬戸内市邑久町、きんせんがえる、伊藤邦夫 2013 岡山の貴重な自然遺産 絶滅危惧種ナゴヤダルマガエル岡山種族 高梁川流域連盟機関誌「高梁川」、(由来は、背中に白黄色の一本線が入ることから)
- 岡山県(備中)、しまん、伊藤邦夫 2013 岡山の貴重な自然遺産 絶滅危惧種ナゴヤダルマガエル岡山種族 高梁川流域連盟機関誌「高梁川」、(由来は、背中に線が入ることから)
- 新潟県、シマカエル、タンスカエル、中村正雄 1926 新潟縣天産誌
ハペ文化
-
その他
旧学名:Rana nigromaculata
書籍
- 日本爬虫両類類学会編, 2021, 新日本両生爬虫類図鑑, サンライズ出版株式会社
- 関慎太郎, 2021, 野外観察のための日本産両生類図鑑 第3版, 緑書房, 東京
- カエル探偵団編, 2020, 見つけて検索!日本のカエルフィールドガイド, 文一総合出版, 東京
- 松井正文・前田憲男, 2018, 日本産カエル大鑑, 文一総合出版, 東京
- 松井正文, 2016, ネイチャーウォッチングガイドブック日本のカエル, 誠文堂新光社, 東京
- 関慎太郎, 2016, 野外観察のための日本産両生類図鑑, 緑書房, 東京
- 内山りゅう・前田憲男・沼田研児・関慎太郎, 2002, 決定版日本の爬虫両生類, 平凡社, 東京
- 前田憲男・松井正文, 1999, 改訂版日本カエル図鑑, 文一総合出版, 東京
学術論文
著者, 発行年, 論文タイトル, ジャーナル名, 巻号, ページ
原記載(1861年)
- Hallowell, E. 1861 "1860". Report upon the Reptilia of the North Pacific Exploring Expedition, under command of Capt. John Rogers, U.S. N. Proceedings of the Academy of Natural Sciences of Philadelphia 12: 480–510.
最新記載(2007年)
- Che, J., J.-f. Pang, H. Zhao, G.-f. Wu, E.-m. Zhao, and Y.-p. Zhang. 2007. Phylogeny of Raninae (Anura: Ranidae) inferred from mitochondrial and nuclear sequences. Molecular Phylogenetics and Evolution 43: 1–13.
ウェブ・メディアなど
- ウェブ名称など, URL
- 新聞など媒体名, 発行年月日, 記事見出し, (URL)
その他
- その他