ツチガエル
アカガエル科 ツチガエル属 Glandirana rugosa (Temminck et Schlegel, 1838)
オス、広島県 オス、富山県 | ||||||
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卵 ・ オタマ | 鳴 き 声 | 文献 ・ 資料 | 写 真 |
全身にごつごつとした縦長のイボのあるカエルで、イボガエルと呼ばれることもあります。捕まえると青臭いいなや臭いを出します。指には吸盤はなく、先端がいくぶん細くなっています。後足の指の間に発達した水かきを持ちます。ヌマガエルとの区別点はヌマガエルの項を参照。
分布
本州、四国、九州。北海道の一部(人為分布)
生態
水辺からあまり離れることなく暮らしています。比較的きれいでしかも少し流れのある水辺を好む傾向にあり、そういう場所が減りつつある関東の都市部では急速に姿を消しつつあります。
生息場所
平地や丘陵地の小川や水田付近。
繁殖
繁殖期はおそく、6月以降に始まり、8月を過ぎても続くことがあります。雄は、岸や水の中で「ギュー、ギュー」という声で鳴きます。雌は卵塊を少しずつ分けて、水草の付着させるように産卵します。オタマジャクシは、年内に変態せず、越冬することもあります。
大きさ・色
体長は、雄で30mm~40mm、雌で35mm~50mm程度。体色はまさに土色ですが、背中の中央に背中線と呼ばれる白く細い線がある個体もいます。お腹にはまだら模様があります。
保全情報
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各県のレッドデータ情報
各県のレッドリストカテゴリーは、制定当時の環境省カテゴリーと同等の場合はそのままのカテゴリー名で書いています。
○はその県に生息している、---は生息していないことを示します。
*は、県独自カテゴリーを示します。
カテゴリ | その他 | |||
北海道 | ブルーリストA(2004) → ブルーリストA3(2010) → ブルーリストA3**(2019) | **北海道の外来種リスト | ||
青森県 | カテゴリーなし(2000) → -(2006) → -(2010) → 準絶滅危惧(2020) | |||
岩手県 | ○ | |||
宮城県 | 準絶滅危惧(2001) → 準絶滅危惧(2013) → 準絶滅危惧(2016) → 準絶滅危惧(2021) | |||
秋田県 | ○ | |||
山形県 | 準絶滅危惧(2003) → 準絶滅危惧(2018) | |||
福島県 | 準絶滅危惧(2003) → カテゴリーなし(2017) → カテゴリーなし(2018) → カテゴリーなし(2019) | |||
茨城県 | カテゴリーなし(2000) → 情報不足1 注目種*(2016) | |||
栃木県 | 絶滅危惧II類(2004) → 絶滅危惧II類(2011) → 絶滅危惧II類(2018) | |||
群馬県 | 注目*(2002) → 絶滅危惧II類(2012) → 絶滅危惧II類(2022) | |||
埼玉県 | (低地帯では)希少種(1996) → 準絶滅危惧(2002) → 絶滅危惧II類(2008) → 絶滅危惧IB類(2018) | |||
千葉県 | 絶滅危惧IA類(2000) → 絶滅危惧IA類(2006) → 絶滅危惧IA類(2011) → 絶滅危惧IA類(2019) | |||
東京都(区部) | B(危急種)*(1998) → 絶滅危惧IA類(2010) → 絶滅危惧IA類(2021) | |||
東京都(北多摩) | ---(1998) → 絶滅危惧IA類(2010) → 絶滅危惧IA類(2021) | |||
東京都(南多摩) | C(希少種)*(1998) → 絶滅危惧IA類(2010) → 絶滅危惧IA類(2021) | |||
東京都(西多摩) | カテゴリーなし(1998) → 絶滅危惧II類(2010) → 絶滅危惧II類(2021) | |||
東京都(本土部) | 絶滅危惧II類(2021) | |||
神奈川県 | 健在種*(1995) → 要注意種*(2006) | |||
新潟県 | ○ | |||
富山県 | ○ | |||
石川県 | ○ | |||
福井県 | ○ | |||
山梨県 | ○ | |||
長野県 | 絶滅危惧II類(2004) → 絶滅危惧II類(2015) | |||
岐阜県 | ○ | |||
静岡県 | カテゴリーなし(2004) → 準絶滅危惧(2019) | |||
愛知県 | カテゴリーなし(2001) → 情報不足(2009) → 情報不足(2015) → カテゴリーなし(2020) | |||
三重県 | ○ | |||
滋賀県 | 要注目種(2000) → 要注目種(2005) → 要注目種(2010) → 要注目種(2015) → 要注目種(2020) | |||
京都府 | 要注目種(2002) → 要注目種(2015) | |||
大阪府 | カテゴリーなし(2000) → 準絶滅危惧(2014) | |||
兵庫県 | カテゴリーなし(1997) → 準絶滅危惧(2003) → 準絶滅危惧(2017) | |||
奈良県 | カテゴリーなし(2006) → 希少種(2016) | |||
和歌山県 | カテゴリーなし(2001) → 準絶滅危惧(2012) | |||
鳥取県 | 情報不足(2002) → カテゴリーなし(2012) | |||
島根県 | ○ | |||
岡山県 | ○ | |||
広島県 | ○ | |||
山口県 | ○ | |||
徳島県 | ○ | |||
香川県 | ○ | |||
愛媛県 | カテゴリーなし(2003) → 情報不足(2014) → 情報不足(2020) | |||
高知県 | ○ | |||
福岡県 | カテゴリーなし(2001) → 準絶滅危惧(2014) | |||
佐賀県 | ○ | |||
長崎県 | ○ | |||
熊本県 | ○ | |||
大分県 | ○ | |||
宮崎県 | ○ | |||
鹿児島県 | ○ | 自然分布は屋久島が南限.トカラ列島の中之島のは移入個体群 | ||
沖縄県 | --- |
ハペ文化
地方名
- 長崎県、どんざびき、松尾公則 2005 長崎県の両生・爬虫類 長崎新聞社、長崎
- 長野県上水内郡東部、どすがえる、上水内郡誌編集会 1970 長野県上水内郡誌自然篇 上水内郡誌編集会、長野
- 新潟県、ババガエル、クソガエル、ヒゼンカエル、ボツガエル、エボカエル、中村正雄 1926 新潟縣天産誌
- 新潟県新潟市西蒲区旧岩室町、アッパゲール、桑原孝 1974 岩室の両生類
- 飯豊山地周辺、ジャガビッキ、大津高 1970 飯豊山地の両生類・爬虫類
ハペ文化
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その他
旧学名: Rana rugosa
書籍
- 日本爬虫両類類学会編, 2021, 新日本両生爬虫類図鑑, サンライズ出版株式会社
- 関慎太郎, 2021, 野外観察のための日本産両生類図鑑 第3版, 緑書房, 東京
- カエル探偵団編, 2020, 見つけて検索!日本のカエルフィールドガイド, 文一総合出版, 東京
- 松井正文・前田憲男, 2018, 日本産カエル大鑑, 文一総合出版, 東京
- 松井正文, 2016, ネイチャーウォッチングガイドブック日本のカエル, 誠文堂新光社, 東京
- 関慎太郎, 2016, 野外観察のための日本産両生類図鑑, 緑書房, 東京
- 内山りゅう・前田憲男・沼田研児・関慎太郎, 2002, 決定版日本の爬虫両生類, 平凡社, 東京
- 前田憲男・松井正文, 1999, 改訂版日本カエル図鑑, 文一総合出版, 東京
学術論文
著者, 発行年, 論文タイトル, ジャーナル名, 巻号, ページ
原記載(1838年)
- Temminck, C. J., and H. Schlegel. 1838. Fauna Japonica sive Descriptio animalium, quae in itinere per Japonianum, jussu et auspiciis superiorum, qui summum in India Batava Imperium tenent, suscepto, annis 1823–1830 colleget, notis observationibus et adumbrationibus illustratis. Volume 3 (Chelonia, Ophidia, Sauria, Batrachia). Leiden: J. G. Lalau.
最新記載(2010年)
- Fei, L., C.-y. Ye, and J.-p. Jiang. 2010. Phylogenetic systematics of Ranidae. Herpetologica Sinica/Liang qi pa xing dong wu xue yan jiu 12: 1–43.
ウェブ・メディアなど
- ウェブ名称など, URL
- 新聞など媒体名, 発行年月日, 記事見出し, (URL)
その他
- その他
2022-09-03