ニホンアカガエル 

アカガエル科 アカガエル属Rana japonica Boulenger, 1879

 

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メス、栃木県

 
卵 ・ オタマ    鳴 き 声    文献 ・ 資料     写 真  

  鼻先が長いスマートな体形をしています。後足の指の間にはみずかきがあります。繁殖期の雄の婚姻瘤(前足の親指の特別なこぶ)は黒く顕著です。

分布

 本州、四国、九州、大隅諸島、隠岐、八丈島(移入)、中国大陸にも分布

生態

 繁殖期以外は、おもに地上で活動し、樹木に登ることはなく、水の中に居ることもあまりありません。日中もよく活動し、水田付近の草地や道を歩いているとよく出会います。餌は昆虫類やクモなど。水田の周囲に十分な緑地が確保されにくくなった都市部では減りつつあります。

生息場所

  平地や丘陵地の水田の周囲や森林の周囲、草地。どちらかというと開けた場所を好みますが、森の中には入り込むこともあるようです。

繁殖

  繁殖期は地域により異なりますが、早春(2月から3月)の最初の降雨で始まることが多いと言われます。繁殖期間は1週間程度から、1ヶ月くらい続くこともあります。水が浅く溜まっていれば、どこでも産卵しますが、おもに水田を産卵場所とオタマジャクシの生活場所としています。

大きさ・色

 体長は、成体の雄で34~63mm、雌で43~67mm。
体色は、赤褐色から茶色、ときに黄土色に近い個体もいます。背中の左右には、それぞれ鼻先から瞼(まぶた)を通ってお尻まで続く背側線と呼ばれる明色の線模様があり、本種ではこの背側線は途中で途切れたりしません。

保全情報

  • 県指定県指定希少野生動植物種
    • 高知県[2021/02/02指定]

各県のレッドデータと保全情報

各県のレッドリストカテゴリーは、制定当時の環境省カテゴリーと同等の場合はそのままのカテゴリー名で書いています。
○はその県に生息している、---は生息していないことを示します。
*は、県独自カテゴリーを示します。

    カテゴリ   その他
北海道    ---  
青森県    ---  
岩手県   カテゴリーなし(2001) → C*(2014)   *
宮城県   準絶滅危惧(2002) → カテゴリーなし(2013) → カテゴリーなし(2016)  
秋田県   準絶滅危惧(2002) → 準絶滅危惧(2016)  
山形県   絶滅危惧IB類(2003) → 絶滅危惧IB類(2018)  
福島県   カテゴリーなし(2003) → 準絶滅危惧(2017)→ 準絶滅危惧(2018)→ 準絶滅危惧(2019)  
茨城県    ○  
栃木県   絶滅危惧II類(2005) → 準絶滅危惧(2011) → 準絶滅危惧(2018)  
群馬県   絶滅危惧II類(2002) → 絶滅危惧II類(2012) → 絶滅危惧II類(2022)  
埼玉県   カテゴリーなし(1996) → 準絶滅危惧(2002) → 地帯別危惧*(2008) → 絶滅危惧II類(2018)  
千葉県   絶滅危惧IA類(2000) →絶滅危惧IA類(2006) → 絶滅危惧IA類(2011) → 絶滅危惧IA類(2019)   県独自のカテゴリ
東京都(区部)   B(危急種)*(1998) →絶滅危惧IB類(2010) → 絶滅危惧IB類(2021)  
東京都(北多摩)   C(希少種)*(1998) → 絶滅危惧IB類(2010) → 絶滅危惧IB類(2021)  
東京都(南多摩)   C(希少種)*(1998) → 絶滅危惧IB類(2010) → 絶滅危惧IB類(2021)  
東京都(西多摩)   カテゴリーなし(1998) →絶滅危惧II類(2010) → 絶滅危惧IB類(2021)  
東京都(本土部)   絶滅危惧IB類(2021)  
神奈川県   減少種*(1995) → 絶滅危惧II類(2006)  
新潟県   準絶滅危惧(2016)  
富山県    ○  
石川県    ○  
福井県    ○  
山梨県    ---  
長野県    ---  
岐阜県   情報不足(2001) → 準絶滅危惧(2010)  
静岡県   準絶滅危惧II類(2004) → 絶滅危惧II類(2019)  
愛知県    ○  
三重県    ○  
滋賀県   要注目種(2000) → 要注目種(2005) → 要注目種(2010) → 要注目種(2015) → 要注目種(2020)  
京都府   要注目種(2002) → 要注目種(2015)  
大阪府   カテゴリーなし(2000) → 絶滅危惧II類(2014)  
兵庫県   希少種*(1997) → 準絶滅危惧(2003) → 準絶滅危惧(2017)   *存続基盤が脆弱な種
奈良県   絶滅危惧II類(2006) → 絶滅危惧II類(2016)  
和歌山県   絶滅危惧II類(2001) → 絶滅危惧I類(2012)  
鳥取県   準絶滅危惧(2002) → 準絶滅危惧(2012) → 準絶滅危惧(2022)  
島根県    ○  
岡山県    ○  
広島県   カテゴリーなし(1995) → 準絶滅危惧(2003) → 準絶滅危惧(2011) → 準絶滅危惧(2022)  
山口県    ○  
徳島県   絶滅危惧II類(2001) → 絶滅危惧II類(2013)  
香川県    ○  
愛媛県   準絶滅危惧(2003) → 準絶滅危惧(2014) → 準絶滅危惧(2020)  
高知県   準絶滅危惧(2002) → 絶滅危惧I類(2017)   県指定希少野生動植物
福岡県   絶滅危惧II類(2001) → 絶滅危惧II類(2014)  
佐賀県    ○  
長崎県   準絶滅危惧(2001) → 準絶滅危惧(2011) → 準絶滅危惧(2016)  
熊本県   カテゴリーなし(1998) → 準絶滅危惧(2004) → 準絶滅危惧(2009) → 準絶滅危惧(2014) → 準絶滅危惧(2019)  
大分県    ○  
宮崎県    ○  
鹿児島県    ○  
沖縄県    ---  

ハペ文化

地方名

  • 長崎県、ひゃっけんびき、松尾公則 2005 長崎県の両生・爬虫類 長崎新聞社,長崎
  • 長崎県、ちょうせんびき、松尾公則 2005 長崎県の両生・爬虫類 長崎新聞社,長崎
  • 東京都 八丈(島)町、ケーロメ、(同様に移入種であるアズマヒキガエルとは明確に区別されている、ケーロメの”メ”は小さいものや可愛らしいものにつける接尾辞)
  • 東京都 八丈(島)町、キャーロメ、(同様に移入種であるアズマヒキガエルとは明確に区別されている、ケーロメの”メ”は小さいものや可愛らしいものにつける接尾辞)

ハペ文化

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その他

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文献・資料

書籍

  • 日本爬虫両棲類学会編, 2021, 新日本両生爬虫類図鑑, サンライズ出版, 滋賀
  • 関慎太郎, 2021, 野外観察のための日本産両生類図鑑  第3版, 緑書房, 東京
  • カエル探偵団編, 2020, 見つけて検索!日本のカエルフィールドガイド, 文一総合出版, 東京
  • 松井正文・前田憲男, 2018, 日本産カエル大鑑, 文一総合出版, 東京
  • 松井正文, 2016, ネイチャーウォッチングガイドブック日本のカエル, 誠文堂新光社, 東京
  • 関慎太郎, 2016, 野外観察のための日本産両生類図鑑, 緑書房, 東京
  • 内山りゅう・前田憲男・沼田研児・関慎太郎, 2002, 決定版日本の爬虫両生類, 平凡社, 東京
  • 前田憲男・松井正文, 1999, 改訂版日本カエル図鑑, 文一総合出版, 東京

学術論文

著者, 発行年, 論文タイトル, ジャーナル名, 巻号, ページ

原記載(1879年)

  • Boulenger, G. A. 1879. Étude sur les grenouilles rousses, Ranae temporariae et description d’espèces nouvelles ou méconnues. Bulletin de la Société Zoologique de France 4: 158–193.

最新記載(2007年)

  • Hillis, D. M. 2007. Constraints in naming parts of the tree of life. Molecular Phylogenetics and Evolution 42: 331–338.

 

  • 川村智治郎. 1943. 兩棲類に於ける交雜の研究I:ニホンアカガヘル雌とエゾアカガヘル雄との種間雜種. 動物学雑誌. 55 (9.10): 315-330.

ウェブ・メディアなど

  • ウェブ名称など, URL
  • 新聞など媒体名, 発行年月日, 記事見出し, (URL)

その他

  • その他

2022-09-03