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アカガエル産卵前線データ利用報告1

全国アカガエル産卵前線から見える産卵タイミングと稲作の関係

2015年12月に第54回爬虫両棲類学会で、アカガエル産卵前線のデータの解析結果を報告させていただきました。まだ、解析に改善の余地が多大にあるため、詳しい手法や計算結果などは載せていません。なお、学会要旨は学会誌に掲載される予定ですのでそちらをご覧ください。


ニホンアカガエルは平野部の水田を主な生息地とし、冬から春にかけて田にできた水たまりや水路などで繁殖します。しかし、近年、農地の集約、大規模農地化、圃場整備などの農地の近代化で、稲作期以外に田や水路に水が残っていることがなくなってきました。
それではニホンアカガエルの繁殖期と田に水が入る時期はどれくらいずれているのでしょうか。これまでカエル探偵団のアカガエル産卵前線に寄せられた情報(2004−2015年)をもとに、地域による違いを見てみました。
ニホンアカガエルの産卵時期は、12月頃に九州地方から始まって、東北地方では4月頃になります(図の左側)。 一方、田に水が入る田植え時期(県の田植平均日)は南の方がやや遅いですが県によって異なり、図の右側のようになります(△は3-4月頃に田植えをする早期栽培も行っている県です)。ニホンアカガエルの産卵前に田に水が入ることはなく、地域によってこのズレは約30〜160日とかなり異なりました。
今後は、より広い地域から多くの産卵報告がないか期待することと、このようなズレと産卵場所の環境の関係を解析したいと考えています。全国のみなさんから寄せられた産卵情報から、ニホンアカガエルの生息環境・繁殖に影響する要因や地域の違いが分かるのではないかと考えています。

matsushima fig1 

(発表 松島 野枝)